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ハチ博士のミツバチコラム(41)アカリンダニ ①

 ニホンミツバチが外来生物であるアカリンダニの寄生で大きな被害を受けています。もともとセイヨウミツバチに寄生していたのが国内に侵入して、ニホンミツバチへの寄生が拡大しています。

 このダニが寄生したミツバチの群では、飛べないで巣箱周辺をウロウロ歩き回るハチが増えたり、寒い季節に貯蜜の大半を残したまま全滅したりするのが特徴です。ニホンミツバチは病害虫に強い野生種であると言われて来ましたが、人間社会で外来の新型インフルエンザが猛威を振るうのと同様に、免疫のない新種の外敵には大きな被害を受けます。

 アカリンダニは赤色をしているのではなく、日本名は学名に由来しています。ダニはクモの仲間で、4対の脚を有するのが特徴で、3対の脚をもつ昆虫とは全く別のものです。マダニの様にペットやヒト等にも寄生して害をなすものが多く、嫌われる生き物の代表格で、「街のダニ」という常套句もあるくらいです。

 アカリンダニは気門からミツバチの体に侵入し、ミツバチの体液を栄養源として気管内で生息します。卵を産み、卵から幼虫、成虫へと成長し、気管の中で交尾して、卵を産む準備の出来た雌だけが外に出て、次のミツバチに取りつき気管に潜り込むというサイクルを繰り返します。

 ダニが寄生したミツバチの気管は挿絵のような状態で、直径が0.2㎜程の細い気管(上下にのびる管状の組織)の中にダニの成虫や卵(管の中の米粒状のもの)がひしめきあっている状態です。これだけ異物が詰まると、ミツバチは息ができず、酸欠となり飛べません。また、正常なミツバチは飛翔筋を激しく振わせて発熱し、巣房を暖め、寒い冬を乗り切るのですが、気管がダニで詰まると発熱することが出来ずに巣房の温度が下がり、最後には群全体が凍死することになります。(次回につづく)(中京しんぶん2015年12月15日号掲載、、挿絵 おおくぼひとみさん)


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