ハチ博士のミツバチコラム(42)アカリンダニ②

 アカリンダニのミツバチへの寄生が最初に認識されたのは百年ほど前で、英国のワイト島のセイヨウミツバチが短期間のうちに壊滅状態になった原因としてアカリンダニが疑われました。この病状はワイト島病と呼ばれ、その後ヨーロッパから百年ほどかけて北欧や豪州を除く全世界のセイヨウミツバチに広まりました。ニホンミツバチへの寄生が報告されたのは五年前ですが、その後、ほぼ全国でニホンミツバチへの寄生が確認されています。これは最近海外から入ってきたというよりは、これまで気付かなかったというのが正しいでしょう。

 アカリンダニはミツバチの気門(人間の鼻に相当する外気の取り入れ口)から侵入し、気管(外気を全身に送る管)の中に寄生します。卵を産める状態になった雌ダニは気管から出て、周りにいる健康なハチに取りついて気門から侵入します。身体を寄せ合い濃厚なスキンシップを繰り返すミツバチ達ですから、雌ダニはハチの体毛にしがみ付いて待っていれば、別の個体に乗り移る機会はたくさんあり、容易に寄生を拡大することができるのです。

 一方、群間の水平移動はどうでしょうか。巣ごとに独立して生きているミツバチ達ですが、隣の巣にも比較的容易に寄生が広がっているのは不思議なことです。ところが、なんと巣の中の雄バチの50%、働きバチの5%はよその群から迷い込んだハチだという研究があるのです。また、蜜を盗むためによその巣箱に押し入るハチもいます。このようにミツバチの群間交流が比較的高頻度で起こっていることが他群への寄生拡大の原因であることは容易に予想できます。

こうなれば、アカリンダニの寄生予防対策をしてもらうしかありません。ミツバチ達にマスクをかけてあげたいな~。(中京しんぶん 2016年1月15日号掲載、挿絵 おおくぼひとみさん)